「シャルディー、ご飯よ。」

「はいはい、いま行くから。」

「はいは一回!」

シャルディー・ザ・ヘッジホッグ十歳。
彼女は、母親の言葉を少しだけうるさく思いながら聞き流した。

夜の食事は静かである。外は黒く染まる。
・・・そして家には大抵シルバーとシャルディーの二人しかいない。そしてシャルディーはあまり話すことを好まない。シルバーも、彼女をそのままにしておい ている。

「ねえ、シャルディー。」

シルバーが口を開く。

「何?」

「明日、パパがお祭りに行かないかって言ってるんだけど・・・。」

シャルディーは、無言で通した。シルバーも、それをとがめだてしようとはしなかった。我が子の性格は完全に、とは言わないが殆ど知っている。喋るのは、得 意なほうではない、いやむしろ苦手である、ということを。

だが、シャルディーが黙っていたのは別の理由からだった。



その夜、彼女はベッドの中で独り思いに耽った。



私だって、みんな一緒に出かけたくないわけじゃない。

でも、パパはいつも約束が守れない。

守れるのは十回に一回ぐらいだ。

どうせまた今回もすっぽかされてしごとに行っちゃう。

どうせそうなるなら、行く、なんていっても無駄だもん・・・。

余計な期待をするだけで。

そうして自分に言い聞かせながら、シャルディーはいつの間にか眠りへと落ちていった。



枕は、一部がぬれていた。
外は、まだまだ暗かった。