「う・・・。」

辺りを見回したテイルスは言葉を失った。周りに広がっているのは、ただただ岩地ばかりだった。当然、彼の家も消えていた。

「これは・・・!」

「ダンガー、あんた・・・。」

「・・・。」

いつの間にかダンガーは通常の状態に戻っている。

「・・・これで驚いてもらっても困るのだがな・・・。」

ポツリと、彼はつぶやいた。



「ちょっと!僕の家どうしてくれんのさ!!」

テイルスがすごい剣幕でダンガーに近づいていく。が、その抵抗もひとにらみされて消えてしまった。

「・・・あのことなら心配するな。」

ふと下を見やると、家はちゃんと戻っている。

「カオスコントロールか?」

シャドウがあきれたように言う。

「居候させてもらっている身で壊すほど馬鹿じゃないんでな。」

珍しく、ダンガーは冗談を飛ばして返した。

「わしを無視するなぁぁぁぁぁぁ!!」

エッグマンが血管の千切れそうな声で吼える。

「あ、忘れてた。」

「きさまらぁぁぁぁ!?}

「ドクター、この状態で戦うのは正気の沙汰ではないぞ?」

「う・・・。」

じりじりとにじり寄ってくるソニックたちに恐れをなしたのか、エッグマンはいつものメカで飛び去っていった。

空に消えていくエッグマンを見て、ナックルズはふと気づいた。

「・・・あ、マスターエメラルド返してもらうの忘れちまった!!」

「あんた、本当に馬鹿ねえ。」

そうしている間に、エッグマンは空のかなたへ宝石のように輝いて消えた。



その夜のことであった。

ダンガーは、荒野と化した中に一人たたずんでいた。

「よ、ダンガー。何しけた顔してんだ?」

きづけば、ソニックが近くに立っている。

「はは~ん、さては昼間のことだな?」

「・・・。」

「・・・あいつのいうこと気にしてたら、やってらんねえぜ?」

「・・・。」

ソニックの慰めも、今のダンガーにはむなしく響く。

「やれやれ・・・。風邪引くんじゃねえぜ。んじゃな。」

ほうっておくのが得策だと判断したのか、ソニックは立ち去りかける。

「・・・なあ、ソニック。」

「ん?」

「お前は・・・。なぜ生きている?」

「そんな難しいこと、考えたこともねえな。」

「そうか・・・。お前は、そういうやつだものな・・・。」

「おい、それってどういう意味だ!?」

軽くダンガーを小突く。

「わかんないことがあってもなくても、俺は走ってる。俺はただの冒険好きのハリネズミ、ソニック・ザ・ヘッジホッグさ。」

いつかシャドウに言ったことと同じ台詞をソニックは言った。

「俺は・・・。」

「だから難しく考えんなって。」

いつの間にか二人は眠り、夜は更けていった。