ずどん。

鈍い音とともにソニックたちが落ちてきたのは何やら暗い世界。

「いててててて……。いったいなんなんだ、あいつは?」

「いったーい!もー、なんてことすんのよ、あいつ!後で見つけたらただじゃおかないんだから!」

「うーん、ここが『地底世界』ってやつなのかな~?」

「まあどちらにしろここから出なきゃなんねーのは変わりないがな…。」

―ソニックが何かに気がついた。他にも誰かいるようだ。

「誰だ!」

「あーら、誰かと思えばまたアンタたちだったのね。」

「フン、君もここに落とされたか。」

聞き覚えのある声だ。暗くてよくわからないがルージュとシャドウのようだ。

「その声は!ルージュとシャドウも落とされちゃったの?」

「ええ、シャイニーとか言う水色のハリネズミがいきなり出てきて落としていったのよ。」

「なんだって!?」

全員が驚くのも無理はない。自分たちもその「シャイニー」にここへ落とされたのだから。

「それは大体いつだ?」

「ドクターが『史上最高の計画』を遂行する、といってから1分ほど後だ。」

「何?俺らと同じ時間帯じゃねえか!」

「…となると奴は同時に様々な場所に現れることができ…」

そうシャドウが言いかけた時、上のほうからまた誰かが落ってきた。シルバーとプレイズのようだ。

しかしその中にはまたもや見かけないやつがいた。

「シルバー!プレイズ!…と誰だ?」

黄緑色の見知らぬハリネズミが答える。

「え?あ、僕のこと?僕はスペクトルって言うんだ!」

(こいつ軽く痛いな…)

全員心の中でツッコむ。確かに口調は幼い感じがする。どちらかというとクリームのほうがしっかりしている。

「ていうかシルバーは未来に行ったんじゃなかったの?プレイズも自分の世界にいたんじゃなかった?」

「そうなんだが…。なにやら水色のハリネズミにここへ落とされてしまった。」

「オレもその水色のハリネズミに落とされたんだ。」

全員が「またか…」と思った。

「奴は未来にも現れることができるのか。」

「それより、ここは一体どこなんだ?俺のいる時代じゃないのは確かだな。」

「―アンダーグラウンドドリーミーっていう地底世界よ。」

ルージュが口を開いた。政府の情報保管庫にあった文献に書いてあったらしい。

「ここは地殻変動によってできている世界なの。2000年に一回、地殻変動でここが消滅するらしいわ。そのあとの地殻変動で元通りになるわけ。」

そして驚愕の真実がルージュから告げられる。

「前に地殻変動でここが消滅したのが2000年前の8月28日午後6時50分ちょっと前。…つまり明日よ。」

「なんだと!ということは明日までに地上へ戻らないと…」

「地殻変動に巻き込まれて死ぬことになる。そうだな?」

「ええ。」

「じゃあ早く脱出方法を考えないとな…。」

珍しくあの「痛いハリネズミ」がまじめな口調だったのでソニックは少し驚いた。

「地上へ戻る方法は何かあるの?」

「一応。この世界のどこかに『アンダーグラウンドサンクチュアリ』っていう神殿があって、そこから転送できるらしいわ。なんでも非常用だとか…。」

「そこをあと19時間くらいで探すのは時間が足りないな…。」

「奴は何かやっているようだが。」

プレイズの視線の先にはあの「痛いハリネズミ」が。何をやっているのかよくわからない。

「なにやってるんだ?」

「悪いけど今話しかけないでくれない?」

「―わかった。」

しばらくすると地面に何かが浮かび上がってきた。このあたりの地図らしい。現在地が点滅している。

「ふぅ…。」

「Thanks!やるじゃないか!」

「ここが現在地だろ?神殿はどこだ?」

「この×印のところじゃないかな?」

地図らしきものには確かに×印が書かれていた。

「そこが神殿と考えたほうがいいだろう。見たところ距離は時間ギリギリになりそうだな…。どう行けば最短距離だ?」

「ここの街を抜けて、この岩山『グレートロック』っていうの?とりあえずこれを超えて行くと一番早い感じするわ~。」

エミーがそう言うとすかさずシルバーが「どうしてだ?」と聞く。

「そりゃ乙女の勘ってやつよ!」

―一瞬時間が止まった気がした。

「シャドウ、カオスコントロールでも使ったか?」

「いや。だがそのルートが地形的にも一番早く行けそうだな。」

「それで決まりだな!」

「よし、じゃあ急ぐぞ!」