プロローグ -エッグマンの企み-


―カリカリカリカリ

なにやら書く音が聞こえる。

―カリカリカリカリ

何を書いているのか。本人しか分かるはずのないことだ。

「…完成じゃ!」

エッグマンはそう言って何かを持った。

分厚い、本…いや、何かが書かれた紙の束だ。

「やっと長年の夢がかなうわい! ほーっほっほ!!」

高らかな笑い声は誰にも聞こえることはなかった。なぜならここは彼の空中要塞の中だったからだ。

ご近所どころか周りにロボットも何もいない。そんな空虚な空間。彼は独りだった。

「すべてはこのドクターエッグマン様のものじゃ!!」

そう言うとエッグマンは部屋を後にした。机の上にはあの分厚い紙束。

一枚目には『史上最高の世界征服のプラン』と書かれていた。

自分で『史上最高』とよく言えたものだ。が、それは実に的を射たものだった。



―かくしてエッグマンの『史上最高の』世界征服の遂行準備が始まったのだった…。